(星座になった民具7)

 帆

 野尻抱影先生著『日本星名辞典』に、石川県珠洲市宝立町の金田伊三吉氏が記録した星名「ほかけぼし(帆掛け星)」が掲載されている。金田氏は、昭和16年から約10年かけて能登半島の漁村地区全域の調査を行なった。

 金田氏は、帆掛け星について、次のように教えてくださった。

「私が集めた(星の和名の)なかで一番気に入ってるいうか、満足してるいうか、よかったと思うのは、ホカケボシやね」

「自分が北前船に乗ったのか、誰か先代かその祖先が乗ったのか確認しなかったけども、北前船に乗っておった者がそう言ってた」

  金田氏は、北前船で語られたホカケボシがからす座の四辺形であることを、実際に話者と庭先で星空を見て確認した。

「からす座の四辺形を帆に見たてた。あれも、正直言って、帆に見えませんよ」

 らす座の四辺形は、西洋のスパンカそのものの形であり、日本の帆船の帆の形ではない。金田氏は、見る角度によって日本の帆もからす座の四辺形の形に見えると説明してくださった。

 

 (鹿児島県歴史資料センター黎明館所蔵)  からす座の四辺形

 

                      日本の星座図鑑へ

                               星・人・暮らしの博物館トップページへ