夏休みのはじめから出会うことができるオリオン座三つ星

オリオン座三つ星と出会う方向を調べてみよう!

 プレアデス星団がのぼったあと、ほぼ同じ方向から太陽がのぼります。

 オリオン座三つ星にはなかなか出会えません。待ち続けること約1ヵ月半……、プレアデス星団より南、ほぼ真東の方向でようやく出会うことができます)

(1900年5月31日の日の出45分前(大阪府泉佐野市)の場合、プレアデス星団は、真東より北へ約28.8度のところからのぼります。太陽は、真東より北へ約27.2度のところからのぼります。その差は僅か約1.6度で、ほぼ同じ方向からのぼると言ってよいです)

オリオン座三つ星だけでなく、様々な星の呼び名を調べてみよう!

夏休みのはじめから出会うことのできるオリオン座三つ星。

三つ星だけでなく、様々な呼び名が暮らしのなかで伝えられていました。

  

         三つ星                          酒桝星

       からすきぼし

唐鋤(からすき)は、昔、田畑を耕すために用いた道具です。三つ星だけで唐鋤星と呼んでいるケースが多いですが、オリオン座のζ(ゼータ)星から小三つ星へのカーブ(写真の右の方)が牛に取り付ける柄、三つ星(写真の左のほう)が人間の持つ柄の部分だと見ることもできます。

オリオン座三つ星との出会いについておじいさんの話を聞こう!

 ★大阪府泉佐野市のおじいさん(明治34年生まれ)の話

 オリオン座三つ星との出会いは、ちょうど夏の土用の頃で、泉佐野市のおじいさんは、オリオン座三つ星(カラスキ)との出会いの様子を次のように語ってくださいました 。

「カラスキいう星がな、カラスキ……、その星が三つあるよって。ほんまは土用星いう。その土用にはいるとひとつ出るのや。その星出るあいだに三日かかる」

 厳密には、夏の土用は年によって異なり、7月19〜21日です。

 ★千葉県浦安市猫実のおじいさん(明治37年生まれ)の話

 浦安市猫実(ねこざね)のおじいさんも、三つ星との出会いについて語ってくださいました。

「土用入って三日目になるとね、サンボシというのがあがる。一、二と三日にあがるの。三日にひとつずつあがるの。下からこうあがってくる。するとね、じきに夜が明けるのですよ」

★福井県三国町のおじいさん(大正6年生まれ)の話

 福井県三国町におじいさんは、土用の一番、二番、三番と語ってくださいました。土用三番にオリオン座三つ星(カラツキ)の三つの星すべてと出会うことができたのです。

「カラツキってのは、土用三番からあがるという。土用の入りが、二〇日ということじゃな。土用の入りが一番じゃろ。二一日が二番なるでしょ。土用三番から、三日目からアケノミョージョーのちょっと前にあがる。大きないけど三つ並んどるわな。たてに三つ並んでる」

7月20日から、順番に、δ、ε、ζ……と3日かかって三つ星と出会うことができるのでしょうか

 1900年(千葉県浦安市)の場合、日の出45分前とすると、δには7月14日頃、εには15日頃、ζには16日頃に出会うことができます。日の出1時間前とすると、δには17日頃、εには18日頃に、ζには19日頃に出会うことができます。

 3日かかる点は伝承の通りでしたが、出会いは伝承よりも早かったのです。時代をさかのぼるとともに、赤経、赤緯は表のように変化し、オリオン座三つ星との出会いはさらに早くなります。例えば、1600年の場合、日の出一時間前にδに出会うのは7月13日頃と1900年より約4日早くなります。実際は、水平線近くまで晴れわたるとは限らないため、7月20日の日の出1時間前頃、高度約3.7度となっているδ(1900年の場合)に出会うというケースが多かったと考えることはできないでしょうか。

 (オリオン座三つ星との出会いは、現在はほぼ真東です。しかし、時代をさかのぼると変化していきます。泉佐野市の場合、西暦1900年は真東から約0.5度南、1600年は約0.8度南、1000年は約2度南、400年は約3.6度南、紀元前200年は5.7度南からのぼります)

(アストロアーツのステラナビゲータVer.5 を用いて算出しました。プレアデス星団は、おうし座η星、三つ星は、オリオン座δ星の位置で考えました)

オリオン座三つ星について、もう一度考えてみよう

 (1)3人のおじいさんの話のなかで、オリオン座三つ星の名前は同じでしたか?

 (2)オリオン座三つ星との出会いについて、3人のおじいさんはどのように語りましたか?

 (3)3人目のおじいさんの語ってくださった「からつき」という名前について考えてみよう!

 

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