星は動くかな?
茨城県北茨城市大津町のおじいさん(明治29年生まれ)の話です。
「クワナヤトクゾウ…、この人がね、やっぱり帆前船のようなもので、東京から石巻へ運んだとか。近海航路みたいなんで、運搬船の船頭なんだ。その人が、何かねえか、夜動かない星を捜してみるのがいちばんだって、そして動かない星はどれだっぺ言って…。みな動くんだね」
東の空の星を観察しましょう。午後8時、9時と1時間おきに観察しましょう。動きましたか?
南の空の星を観察しましょう。動きましたか?
西の空の星を観察しましょう。動きましたか?
北の空の星を観察しましょう。動きましたか?
動かない星をさがそう!
動かない星はないのでしょうか。
北の空の写真です。時間が過ぎてもほとんど動かない星があります。
湯村 宜和氏撮影
おじいさんの話の続きです。
「そのうちに北極いう星は動かねえ、と…」
そうです。北極星はほとんど動かないのです。
海で生きる人びとにとって北のほうにあって動かない星「北極星」は、方角を知る目標として、たいせつな星でした。
静岡県伊東市川奈のおじいさんの話です。
「キタノヒトツボシというのは、あの人が見つけたの。ミカンブネのキノクニヤブンザエモン。紀州のね。どうして見つけたいうたら、便所へ行って、その星がちょっと見えた。いつ行っても、その星が見えた。だから、その星は動かないいうことに決めてもらったらしい」
キタノヒトツボシは、北極星のことです。
北極星は、全然動かないのでしょうか? 少しは動くのでしょうか!
北極星即ち「こぐま座α星」は、現在、天の北極から一度弱離れています。北極星は静止しているのではなく、半径一度弱の円を描いて動いています。天の北極からの距離は、昔は今より大きくなっていき、北極星の動きがわかりやすかったのでした。
湯村 宜和氏撮影
北極星が動く昔話を調べよう!
星・人・暮らしの図書館「星と人と暮らしの事典」 の 浪速の名船頭・徳蔵の伝承 で調べよう!