紀州のみかん星/みかん星

 

       紀州のみかん星(兵庫県芦屋浜にて撮影)           

 神戸市深江の明治39年生まれのおじいさんは、紀州のみかん星について語りはじめました。

「紀州の方、和歌山の方、まあ大きい星出まんのや。紀州のみかん星いう。三時頃によう出よった。紀州のみかん星出たら間(ま)ないわ。夜明けてくる。南の山のちょっと上に、紀州の山の上に見えるから紀州のみかん星」

 紀州にみかんが実ります。カノープスもみかんの季節に輝きます。だから紀州のみかん星と呼んだのです。

  カノープスが紀州の山の上ではなく、淡路島の上に輝く兵庫県加古郡播磨町古宮においても、みかん星と呼びました。古宮の場合は、次のように、紀州のみかんではなく、淡路のみかんでした。

 「みなわかりまんが。淡路あそこにみかん星が出とんのお。あれが真南やな。そのかわりに、あんた電気も何もないときだもの」

 「淡路にみかんのなる時季に淡路の上にあがるさかい、自分らで名前つけとるわけや。出てじき沈む。ひとつの星な、大きめの」

             (明治43年生まれのおじいさんの話)

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