★近畿の天文民俗学博物館へようこそ! 近畿の天文民俗学事典をめざしているページです★                     

1)土用星(大阪府泉佐野市)

  大阪府泉佐野市の漁師さんから、夏の土用(7月20日頃)にオリオン座三つ星に出会った思い出を聞きました。

「カラスキいう星がな、カラスキ…、その星が三つあるよって。ほんまは土用星いう。その土用にはいるとひとつ出るのや。その星出るあいだに三日かかる」

 δから順番にε、ζ…と、三日かかって三つ星にめぐり会うことができたのです。

 カラスキは、広く分布するオリオン座三つ星の呼び名で、他の地域の人と話すときはカラスキを用いたのですが、泉佐野の仲間では土用星で通じました。

(2)紀州星

 大阪湾で船を進めていると、秋の彼岸を過ぎた頃の明け方、りゅうこつ座のカノープスと紀州の山の上でめぐり会うことができます。

「紀州星いうのは、南から出て南にはいるよってな」

 大阪湾でのカノープスは、決して見るのが難しい特別の星ではなく、紀州の山の上で出会うことのできる暮らしの景観のひとつでした。

(3)徳蔵星

 徳蔵の登場する北極星の物語は広く分布しますが、徳蔵が北極星の呼び名になっているケースは大阪府泉佐野市だけです。 そして、北極星の動きの発見者が徳蔵と妻の両方というのも泉佐野だけです。

 「北極星いうのは、三寸あがって三寸さがったら夜明けるいうて…。あれ、トクゾウボシいうて、昔はクワナイトクゾウいう人があの星を見つけたいうたんだ。ええ、トクゾウボシいうんだ。それがキタノヒトツボシなってやなあ。今の学問から言ったら北極星や。大阪の築港に松の木を植えて、北極星見て、北極星見ても位置わからない。かめあわして…、一晩に三寸動いた」

「トクゾウのおくさんが針仕事してて、障子の破れたのを見て、障子の桟だけしか動けへんのやった。その星さん、それから三寸いうんかな」

                                                  

                                近畿の天文民俗学事典へ

                                星・人・暮らしの博物館トップページへ