(星座になった民具9)
馬鍬(まんが)
春、犂(すき、からすき)を用いて田を耕す。その頃、日が暮れた後、からすきぼし(オリオン座三つ星と小三つ星と周辺の星)と出会うことができる。
5月、からすきぼしが沈んで見えなくなり、からす座の四辺形と南の空で出会う。
馬鍬を使って代掻き(しろかき)をする季節がやってきた。
牛馬(主に牛)に馬鍬(まんが)を引かせて、塊となった土をくだいて平らにする。水田の面をやわらかく平らにして苗を植えやすくして田植えに備えるのだ。
桑原昭二氏は、兵庫県飾磨郡夢前町でからす座の四辺形の和名「まんぐわぼし」を記録されている(桑原昭二氏著『星の和名伝説集 瀬戸内はりまの星』)。馬鍬を牛のほうから見ると、からす座の四辺形と重ね合わせることができる。
唐鋤ですいたあと馬鍬という作業の順番と、星空で「からすきぼし」のあとに「まんがぼし」が登場するという順番が同じで、星ぼしの季節のめぐりとともに人びとが暮らしていたことを教えてくれる。
からすきぼし(湯村宜和氏撮影)(オリオン座の星ぼしに、唐鋤を描いた)
鹿児島県出水郡東町の馬鍬 からす座の四辺形
(牛のほうから見て、からす座の四辺形をイメージした)
(鹿児島県歴史資料センター黎明館所蔵)