山口県の星名

                                    (山口県中島彰さん・松尾厚さんからの情報)

  山口県には、今まで知られていなかった特徴のある星が伝えられています。

(1)やまだぼし(山田星)

 江戸時代に領主に納めない隠し米をつくっていた山田の方から、8月から10月頃の夜明け前にのぼるシリウスを、『やまだぼし』と呼んでいた。米>の収穫期が近づくころの人びとの思いを伝えている。

 (2)ちゃがゆぼし(茶粥星)

  山口県油谷町は、元禄時代から明治時代まで捕鯨が盛んなところであった。

 11月頃から12月頃、午前4時から5時頃に起きて、体を温めるために茶がゆを食べてから、捕鯨に出る準備をした。茶がゆを食べるときに東の空に昇る明るい星アークトゥルスを『ちゃがゆぼし(茶粥星)』と呼んだ。茶がゆは、茶葉を煎じ出した汁で煮た粥で、山口では昔は茶粥(ちゃがゆ)を朝ごはんにする家庭も多かった。茶がゆは今でも山口の郷土料理として伝えられている。

 (3)フヨタロー

 山口県長門市には、フヨタローという呼び名が伝えられている。漁をしているとき、夜明け前に三隅(みすみ)のほうから昇るが、1間か2間くらいの高さまでしかのぼらずに1時間?ぐらいで沈む。他の星のように上のほうまで高くのぼっていかないで、ちょっとのぼってすぐ沈むことから『フヨタロー』と呼んだ。フヨタローとは、『怠け者』『ものぐさ』という意味である。フヨタローは、山口県萩市にも伝えられており、陸地からは見えないが、玉江港から沖に30分ほど出ると見える。

 

                            天文民俗学情報館へ

                            星・人・暮らしの博物館トップページへ